奥田経団連会長のやり方で思い出す五島・日商会頭

 奥田経団連会長はミサワホームの買収をするために三沢さんを経団連の会長室に呼び出して、話は決裂した。この話を聞いて私は約20年前のことを思い出した。東急電鉄社長で日商会頭だった五島昇氏は、藤田観光の株の問題で頭を痛めていたことがある。85年4月に、東急電鉄は藤田観光を19%買い占めた。藤田観光の株は仕手グループの「ビデオ・セラー」に買い占められており、それを東急が肩代わりした。

 東急は藤田観光の株を買った後に、業務提携の話を持っていった。これに対して藤田観光の田中雄平・社長や大株主の同和鉱業は「業務提携の話をするのに19%の株を持つのはおかしい。短刀をわき腹につけて交渉をしているようなもの。短刀をしまうのが交渉につく条件だ」と申し入れた。

 藤田観光に五島社長の長女の婿さんがおり、社内で処遇されていない、という不満があった。なんとか処遇してほしいという五島社長の意を汲んで、番頭役の東急の田中勇・相談役が株を仕手グループから買った、と言われていた。田中・藤田観光社長は「日商会頭の五島さんが娘のために株を買って圧力をかけるのはおかしい」と反発していた。この提携話は朝日新聞などが報道した。このため、田中相談役は五島会頭に迷惑をかけられないと株は藤田観光に戻した。

 日本経団連会長や日商会頭等は公的な地位である。その地位を利用して自分の会社の利益を図ることは許されない。五島会頭の場合は部下が気をきかせて株を買うことで、少しでも娘婿の待遇を良くすることが出来る、と考えた。奥田会長の場合は、住宅事業を始めた豊田章一郎・トヨタ自動車名誉会長のためにミサワホームの買収を考えたのだろう。そうした時に竹中平蔵・金融担当大臣の口利きとはいえ、日本経団連会長室に呼び出したことは問題だろう。

 三沢氏は「この段取りをした竹中兄弟が経営者の魂を知らないことで失敗した。場所は中間のなだ万とか福田屋でやれば違っていた。軽く一杯やりながら話せば、あんなとげとげしいことにはならなかったと思う」と話している。
  

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